抄録
東日本大震災は津波による甚大な被害をもたらした.石巻赤十字病院は災害拠点病院として救護活動を行ったが,不測にも被災した多数の在宅酸素療法(HOT)患者が酸素吸入を求めて来院した.延べ88人が来院したが,入院病床は満床を超え,酸素吸入のみの患者は院内滞在者として収容した.収容エリアの確保やHOT担当看護師の配置,機器類の手配,滞在中の患者の管理など想定外の事態に柔軟により良く対応した.しかし,滞在中に増悪を起こした患者は約2割に上った.今後,医療機関,関係業者,行政など関係者間で大規模災害時のHOT患者対策を検討していく必要がある.