われわれは,安定期COPD患者の6分間歩行試験(6MWT)における呼吸循環反応と呼吸困難について検討した.6MWT中のは,開始後2分まで急増しその後横ばいを示した.との換気効率の変化から,6MWTは乳酸緩衝能の強度で歩行を続けていたことが示唆された.6MWT中はICが有意に減少したことから動的肺過膨張が発生しており,呼吸困難増加の一因であることが示唆された.IRVは2分目で屈曲点を示し吸気量の減少がみられたにもかかわらず呼吸困難は直線的に増加を続けていたことから,呼吸困難の発生メカニズムについて6MWT開始早期は呼吸努力感によるもの,その後は中枢-末梢のミスマッチによるものと考えられた.6MWTの実施前にSABAを吸入することで,歩行距離,最高,ICの増加と呼吸困難の減少が認められ,ICと呼吸困難は,6MWT中も効果が継続していたことが示唆された.これらの研究により,COPD患者の6MWTにおける呼吸循環反応と呼吸困難の特徴の一端を明らかにすることができた.