2016 年 26 巻 2 号 p. 258-263
【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)において低強度運動療法に追加併用して実施した,呼吸回数を指定した吸気筋トレーニング(IMT)の効果を明らかにすること.
【方法】安定期COPD患者20名を対象とした.対象患者には,呼吸回数を30回に指定したIMTを3ヶ月間実施した.介入前後に最大吸気口腔内圧(PImax),大腿四頭筋筋力(QF),6分間歩行距離(6MWD),6分間歩行試験後の呼吸困難と下肢疲労感を測定し,IMTによるPImaxの増加および運動耐容能に及ぼす効果を検討した.
【結果】IMT施行後に,PImax,QF,6MWDは有意に改善した.また,6MWDとPImaxおよび呼吸困難の各変化量には有意な正の相関関係がみられた.
【結論】呼吸回数を指定したIMTの追加併用によりPImaxは有意に増加し,PImaxと呼吸困難の改善が大きいほど6MWDの増加量も大きくなる可能性が示唆された.