2019 年 28 巻 1 号 p. 6-10
COPDでは,機械的および病態生理学的に横隔膜機能が低下する.近年,非侵襲的な超音波画像解析による横隔膜評価が広く用いられているが,COPDを対象にした検討は少ない.そこで,私たちの研究グループは,超音波画像解析によって横隔膜筋厚(Tdi)と筋厚変化率(ΔTdi%)を測定し,①COPD患者と健常者の比較,②COPDにおける睡眠時動脈血酸素飽和度との関連,さらに健常者を対象に③複数の負荷の吸気筋トレーニング(IMT)中におけるΔTdi%の違いについて検討した.その結果,①健常者と比較してCOPD患者の努力吸気時のTdiとΔTdi%は有意に低値であること,②COPD患者でΔTdi%と睡眠時の動脈血酸素飽和度と有意に関連すること,③最大吸気口腔内圧(PImax)の60%以上でIMTを行った場合にΔTdi%は低値を示すことが明らかになった.今後は,これらの結果を縦断的な検討に繋げる必要がある.