日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
2019年度 学会奨励賞受賞報告
体圧分散エアマットレスにおける姿勢と硬さの変化が咳嗽力に与える影響
上川 紀道
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2020 年 29 巻 2 号 p. 183-185

詳細
抄録

随意的な咳嗽力の指標には,咳のピークフロー(CPF)がある.CPFは,肺気量,呼吸筋力に影響を受け,臥位で低値を示す.一方,症状悪化により長期的に背臥位を強いられると,褥瘡予防目的でエアマットレス導入が推奨される.よって,背臥位におけるエアマットレスの硬さがCPFに与える影響を検討することは重要である.以上のことから,健常若年男性を対象として検討した結果,硬さが「ソフト」の場合,CPF,努力性肺活量(FVC),最大吸気口腔内圧(PImax),最大呼気口腔内圧(PEmax)が有意に低下した.さらに,嚥下障害を有する高齢者を対象として検討した結果,硬さが「ソフト」の場合,CPF,FVC,PImaxが有意に低下した.姿勢に関しては上前腸骨棘の沈み込みが大きく,骨盤が後傾し,腰部接触面積が増加した.本研究の結果は,骨盤後傾を伴う腰部の沈み込み,脊柱の弯曲による姿勢の変化が,嚥下障害を有する高齢者のCPFなど咳に関連した因子に影響することを示唆している.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top