緩和ケアとは命を脅かす疾患において行われるとWHOでは定義している.日本でも非がんの緩和ケアへの取り組みが始まっている.呼吸器疾患において,特に在宅緩和ケアにおけるACPは重要である.患者・家族の思いを十分に傾聴することで呼吸苦など身体的苦痛だけでなく,心的・社会的不安や精神的苦痛,スピリチュアルな苦痛をトータルペイン(全人的苦痛)として地域緩和ケア(多職種)で受け止め,病状とともに変化する患者・家族の意向に沿って柔軟に方針を変更することで,在宅で家族とともに楽しく過ごせる時間を実現できると考える.地域緩和ケアに携わる我々は繰り返し多職種でACPを行うことを忘れてはならない.