1996 年 6 巻 2 号 p. 109-113
気管切開下に長期人工呼吸管理となった呼吸不全患者に対し患者の労力を最小限にとどめ,より確実にコミュニケーションを行うために画像処理機能付き小型センターカメラとノート型パーソナルコンピュータを使用し,患者の口唇の動きを画像処理により認識し音声に変換する会話支援システムの開発を行った.あらかじめ規定した20個の文章の認識率と口唇の動きから音声発生への変換時間を健常者1名と期間切開下に人工呼吸管理中の慢性呼吸不全患者1名を対象として検討した.健常者に対する20文章の認識率は92%と高率であったが患者に対する認識率は18%と低値を示した.また音声への変換時間は両者ともに1秒前後と短く実用に耐えうる時間であった.今後,口唇の認識方法やシステムの改善により認識率を向上させ,臨床使用が可能になると考えられた.