1997 年 7 巻 2 号 p. 77-83
欧米では,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対して,患者評価,患者・家族教育,禁煙指導,薬物療法,酸素療法,栄養指導,呼吸理学療法,心理社会的支援,継続的ケアなどを含む,“より包括的な”呼吸リハビリテーション(包括呼吸リハ)が実施され,症状改善やQOLの向上に役立つとして評価されている.当院のような呼吸器専門医のいない地域小規模病院において,この包括的呼吸リハがどのような形で実施可能か,大病院の呼吸器専門のスタッフの協力を得て試みた.COPD患者46名に対して包括呼吸リハの受講希望をとった.受講希望者は24名で,このうち実際に受講した者は16名であった.クラス方式で6回にわたり講習を行った.受講者の平均年齢は74歳であった.高齢にかかわらず講習内容の理解は悪くなく,病気を自ら管理しようとする自覚がもたらされた.地域小規模病院でも包括呼吸リハの実施は十分に可能であると考えられた.