2025 年 40 巻 1 号 p. 108-126
本研究は,規模と形態の異なる3大学に所属する大学教員を対象に行われたアンケート調査結果を基に,学際研究の実施を促進する要因を明らかにするものである。個人が複数分野を用いて実施する研究体制を「個人の学際志向」,複数分野の研究者が共同研究として実施する研究体制を「多専門共同研究」と定義し,学際研究に繋がる研究体制であるとする。統計解析を行った結果,研究者個々の「専門分野」,「研究手法」,「研究関心」の選択は,選択肢および選択数によって「個人の学際志向」と「多専門共同研究経験」に影響を与えるものがあることが明らかになった。また,多専門共同研究における親和性の高い分野の組み合わせは様々であり,さらに他分野との学際研究を希望する分野(選択側)もあれば,希望される側の分野(被選択側)もあることから,被選択側の分野が自身の需要を認識することも学際研究の実施促進において重要である。