2020 年 45 巻 1 号 p. 11-20
目的:心外膜下脂肪(Epicardial adipose tissue: EAT)は心臓周囲に付着した異所性内臓脂肪であり,冠動脈疾患(Coronary artery disease: CAD)進展と密接な関連がある.我々は過去に,リニア型探触子を使用して前室間溝(Anterior Interventricular Groove: AIG)でEAT厚を測定する手法(EAT-AIG厚)を考案した.また,EAT-AIG厚のカットオフ値を7.1 mmと設定した場合,最も感度・特異度高くCADの有無を判別できることを単施設で報告した.そこで本研究では,EAT-AIG厚のカットオフ値7.1 mmを用いた場合のCAD予測の有用性について,多施設における新たなコホートを対象として検証することを目的とした.
対象と方法:多施設前向き研究として,2017年4月1日~2018年3月31日までに心臓カテーテル検査が施行された216例(平均年齢67±12歳,男性134例)を対象とした.EAT-AIG厚は,心臓カテーテル検査を施行する前に,リニア型探触子を用いて計測した.EAT-AIG厚のカットオフ値7.1 mmに基づいて2群に分類した.
結果と考察:CADを有した症例は97例(45%)であった.EAT-AIG厚>7.1 mmの患者では,EAT-AIG厚≦7.1 mmと比較して有意にCADの罹患率が大であった(66% vs. 23%,p<0.001).EAT-AIG厚>7.1 mmは,感度75%,特異度68%でCADの有無を予測できた.陽性的中率,陰性的中率および正診率はそれぞれ66%,77%,71%であった.EAT- AIG厚>7.1 mmは,従来の冠危険因子(年齢,性別,Body mass index, 高血圧,脂質異常症,糖尿病,喫煙歴)に加えてCADを予測する指標である.
結語:EAT-AIG厚のカットオフ値7.1 mmは,CADの予測に有用であることを多施設共同研究でも確認できた.