抄録
デジタルカメラなどの家電分野では,開発スピード競争の激化や消費者嗜好の多様化に対応するため,デザインプロセスの効率化が求められている.一般的なデザインプロセスにおいて,モデルの作成が時間的・金銭的コスト負荷が大きいため,モデル作成の効率化はデザインプロセス全体の効率化へつながることになる.そこで,実モデル(RM)の代わりに,仮想モデル(VM)を用いて製品形状を評価・検証する手法が研究されている.VMは,CGで仮想空間内に表現されるため作成・修正が容易である.しかし,VMは触ることができず,このことがデザイン評価において障害となっている.本研究では,RMによる実感評価の利点とVMによる効率的評価の利点を組み合わせた意匠デザイン評価法を提案した.本手法では,実空間に配置されたRMに対して,それと類似デザインのVMを複合現実感技術により重ね合わせて表示することにより,両者の利点を兼ね備えたハイブリッドモデルが実現する.また,デザイン評価の結果として形状を修正して再評価する要求に対しても,VMを修正するだけで触感を伴ったデザイン検証を行うことが可能である.本手法の有用性は,アンケートによる主観評価によって確認された.