抄録
本研究は工業製品のデザインの視点から、いままでの研究成果をデザインコンセプト策定の手順の中に位置づけ、支援する方法について提案する。デザインコンセプト策定には、まず望ましい製品属性や製品価値をデザイン要件として顕在化させる。次に、これらの要件を(1)どの製品にも求められる共通の要件と今デザインしようとしている製品だけに求められる差別化の要件とを区別する視点、(2)意見の違いがない要件と意見の違いがある要件とを区別する視点で整理する。さらに、デザイン要件のあいまい性を排除したり、顕在化させた要件どうしを関連づけたりすることによって、製品の評価構造を明らかにする必要がある。その方法として、数理科学的な手法、製品評価実験、造形モデル・構造モデル・機能モデルなどさまざまな手法が研究開発されてきた。とくにユーザーの製品イメージや価値に関する要件はあいまい性を多く含み、その認知構造の把握が課題となっていた。これには、数量化理論やラフ集合が使われている。このようにして得られた知識は、現時点でのデータを基にした製品の評価構造であるが、これを再構成するデザインコンセプト策定においては有効な手立てとなる。