抄録
インターネットの普及は障害者を外出にともなう物理的バリアから解放し、ネット上でのコミュニケーションにおいては障害者と健常者の区別はできなくなっている。しかし文章などの入力時には依然として物理的バリアが障害者とパソコンの間に介在し、その問題は完全には解消されていない。 障害者や高齢者を対象とした製品の市場性が有望視される時代になっても、パソコン入力動作を支援する機器はあまり開発されていない。これまで自助具ボランティアの活動の中で「一般のキーボードを何とか使いたい」という要望が寄せられ、キーボード上に透明プラスチック板を設置し、各キー位置に孔を開けたキーボードカバーを数多く制作した。当初は何とか使えたものの、パソコンを更新する際にはキーボードの大きさやキーの位置が異なるため、新規に制作する必要があった。 更にノートパソコンでは必要開孔寸法が得られず、キーボードカバーの設置もできない。また開孔が指の移動時には大きな抵抗となり、筋力の弱った上肢障害者にとっての新たな物理的バリアとなっていた。 本研究では一般のキーボードとノートパソコンで継続使用できる入力補助器具を提案し、その検証を行った。