抄録
本研究は第二次世界大戦後のモダニズムの拡散と拡大に関する研究の一環として、戦後アメリカでグラフィックデザインの領域で活躍したチェコ人デザイナー、ラディスラフ・ストナーに注目し、戦前の西欧のモダニズムとの関係において、チェコスロヴァキアのデザインがどのように形成され、モダンデザイン史のなかでどのように位置づけられるかを考察するものである。ストナーは、アーツ・アンド・クラフツ協会のメンバーとして、プラハ国立グラフィックデザイン学校の学長としてモダンな生活を提唱し実践した。ストナーのヴィジュアル・デザインには、同時代の機能主義とインターナショナリズム、特にノイエ・ティポグラフィ、CIAMの影響があらわれている。論文では、特にチェコスロヴァキアのアーツ・アンド・クラフツ協会の活動「dp」「kj」を中心にタイポグラフィ、広告、ブックデザイン、ダイニング・セットを具体的に検証する。1930年代のストナーをはじめとするチェコスロヴァキアのデザインは、完全に西欧のモダニズムのなかに位置づけることができるのである。