抄録
専門分野の拡がりと重なりによる知的複合情報にかかわるコミュニケーション障害、あるいは機能が重層複合化する環境や機器類のブラックボックス化など、現代の私たちは一種の盲目状態に悩まされている。視覚言語は、そうしたコミュニケーション障害を克服する可能性をもっている。交通や通信の進歩によって、距離的、空間的に世界が縮小し、インターネットや海外旅行が一般化するほど、私たちは言語の違いを思い知らされている。視覚言語は言語の障壁を乗り越える可能性ももっている。今回は太田幸夫考案のLoCoS(仮称 Lovers Communication Systemの略)1.0の中から単語と文法のデザイン案の一部(次回は発音と文例の一部)を例に視覚言語の可能性を見る。合わせてバージョンアップが必要な課題についても考察する。(LoCoS 1.0は、単純な幾何形態を組み合わせて単語と文章をつくる絵文字システム。文法は英語に準じているが、横一列とは限らず、上下に副詞、形容詞を配することもできる。単語の形と意味と発音が一致し相互変換できる。30分の学習でマスターできることが世界中で実証されている。)