日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ラットにおける大腸菌性化膿性子宮内膜炎の発病におよぼすエストラジオールの阻止効果 : 特に子宮内膜上皮の形態学的変化について
西川 禎一鎌田 洋一馬場 威
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1987 年 49 巻 2 号 p. 313-321

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抄録
ラットの子宮内に大腸菌を接種した場合, エストラジオール (E2) の影響下では, 不顕性に経過した。しかし, E2作用を受けていない子宮あるいはプロジェステロン優勢状態の子宮においては, 化膿性子宮内膜炎が誘発された。E2が子宮分泌液の増加と貯留をひきおこすことから, 分泌液に発病阻止能力があるか否か調べたところ, 卵巣摘除ラットの子宮頚管結紮によって分泌液を貯留させた場合にも, E2投与ラットから分泌液を移入した場合にも, 大腸菌接種による子宮内膜炎の発生を抑制することはできなかった。性周期各期の子宮ならびに各種ホルモン処置ラットの子宮について, 肥満細胞数, 好酸球数, 子宮内膜上皮細胞の増殖程度, 細胞の大きさを調べたところ, E2影響下で大腸菌感染が不顕性化する子宮においては, 常に内膜上皮細胞の丈が高く, E2は子宮内膜上皮細胞の性状を変化させて, 大腸菌感染に対する抵抗性を高めているものと推察された。
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