抄録
本研究は,ハンズオフ・ハンズオン体験による気分の変化を評価することによって,療養環境を改善するためのホスピタブルアートについて検討することを目的とする。ハンズオフ刺激を画像鑑賞,ハンズオン刺激を描画として調査を行う。POMS短縮版によって気分を評価し,刺激前後の差を比較する。「落ち着く,安心な,リラックスした,おだやかな,快い,好きな」「おもしろい,興味のある,個性的な,刺激のある」「にぎやかな,陽気な」の3因子のうち,2因子以上の評価が大きい画像を鑑賞するハンズオフ刺激によって,POMS尺度の「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「活気」「疲労」「混乱」が有意に低下した。好きな画像を選んで,それを基に自由に描画するハンズオン刺激によって,「活気」は有意に上昇した。ハンズオフ刺激後にハンズオン刺激が加わっても,刺激呈示前の気分に対する「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「疲労」「混乱」は有意な低下が保たれた。療養環境改善のためのホスピタブルアートとして,アート鑑賞やアートワークショップ活動の有効性が示唆された。