抄録
福岡県飯塚市にある総合せき損センターでは、脊髄損傷者の救命救急の初期治療から社会復帰までの医療に加えて、患者や介助者が安心して退院できるように、その同一施設内で脊髄損傷者の利用する支援機器の開発などを行っている。 プロダクトデザインをバックグラウンドとする著者は支援機器を開発するにあたり、脊髄損傷者や医療スタッフに意見を求め専門知識を交換する中で、必要不可欠な視点を相互に学び、またその体験を次のステップの開発へと繋げてきた。 しかし、医療業務は支援機器の開発と比べて緊急性を伴う側面がある。そのため医療スタッフの多くは支援機器の開発は医療業務と比べてプライオリティが低い、もしくは特殊な業種や研究員が単独で行うものであるという意識ではないかと懸念している。その点で医療スタッフの誰が、今やろうとしている研究に対して興味があり協力できるのか、「共に考える姿勢」を把握し育むことが課題である。 本研究では、院内TQM活動として2010年より2年間研究を実施し継続している「ベッド周辺の機器開発」の概要を報告し、それを事例にTQM活動の実際や、院内連携における課題と対策を明らかにしたものである。