既存の活動における道具や場は、その活動をより良く行えるかどうかの評価によってデザインを洗練することができる。しかし、まだ存在しない活動を行うための道具や場はどのようにデザインすればよいのだろうか?著者らは市民の表現活動を支援するという目的で、芸術の専門家ではない人々が自分の思いを表現するための活動プログラムと道具の開発を行い、新しい活動をデザインするための手法の研究を進めている。本稿では市民の表現活動のための道具「Zuzie」を開発する過程で行われた「デザイン探索を含む段階的デザイン」を活動理論によって記述することで、新しい活動を創り出すためのデザイン手法を論ずる。