日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第60回研究発表大会
セッションID: 3A-04
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木檜恕一による家具図の特質と変遷
『室内装飾家具製作圖』・『住宅家具設計及製作圖』・『近代の事務家具』の比較研究
新井 竜治
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抄録

木檜恕一による家具図の変遷には、家具図における第三角投影法の定着過程が見られる。また寸法表記が尺寸からセンチメートルへと変化する過程が見られる。木檜恕一の初期の著作の家具図は『Modern Cabinet Work: Furniture and Fitments』(1909年)等の家具図を原図として、自ら新しく描き起こしたものであった。このように木檜恕一らが指導して定着させた近代日本における木製家具産業は、20世紀初頭の英国・米国の木製家具産業の標準的な製作方法を日本国内に適用したものであった。そして遅くとも1924(大正13)年までに、家具の標準設計及び標準加工品が存在するようになった。また同時期までに、標準設計を変更する能力と精密な原寸図を描く能力が家具製作業者に備わった。また昭和戦前期には、断面詳細図・原寸図・仕様書・見積書を作成する能力までもが備わった。そしてこれは、木檜恕一を始めとする木材工芸研究者たちによる全国の家具木工業者への集中的かつ熱心な教育普及活動の成果であった。

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© 2013 日本デザイン学会
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