能動的触知覚とは「触る行為、すなわち随意的に自ら作り出す接触運動によって生じる感覚」である。本研究はこの知覚に着目し、そこから生じる操作フィードバックを研究対象とする。具体的には、ユーザの能動的触知覚を操作フィードバック活用したUIデバイス「稜線UI」の開発と、能動的触知覚による操作フィードバックを生じさせる造形デザインのコンセプトや手法開発などのデザイニングを実践することである。 稜線UIはレリーフ状の立体造形をしており、そこにある稜線を指先がまたぐことで、何らかの作用を起こすためのイベントが発生するような造りになっている。この時に、指先が稜線上の段差を乗り越えて生じる能動的触知を操作フィードバックとして利用する。 その立体造形は、操作フィードバックを生じさせるものであると同時に、それが意味するモノゴトや文脈が認知できるようなものにしたい。このような知覚と認知を両立することに着目したデザインは、これまで行われてこなかった。 本稿では、この新しいデザインフィールドに向けた新たな造形デザインコンセプトや手法開発について、「作用するカタチ」と「表現とピボット」の観点から論ずる。