抄録
視覚に障がいを持つ子ども達にとって、触覚は視覚に代わる重要な感覚である。しかし視覚が全体像を瞬時に把握できるのに対し、触覚は対象となるものに少しずつ順に触ることで全体を把握するため、様々な難しさを抱えている。その一つが「空・山・川・海」のように、触ることが出来ないために触覚では認知不可能な空間であり、またこれら相互の関わりをイメージすることも難しい。そこで本研究ではその「空・山・川・海」への興味・関心を育み、理解を深める玩具の提案を行う。検討段階では2名の盲児を対象に複数の試作を制作し、実際に彼らが試作で遊ぶ様子を観察、発話や動作の記録を通して課題や改善点を抽出した。その過程で得られた彼らの認知特性や興味の方向性などから、発達段階などに応じて(A)山や海などを光や音を使って表現し、興味・関心を育てるもの、(B)より具象的な表現で空や海などの相互の関係を理解し、より具体的な知識を得られるもの、という2つの方向に対し、多様な素材感、触感を持つ玩具の最終モデルの提案を行った。