バーチャルリアリティ技術の一つであるAugmented Reality (以下ARという)は、スマートフォンの高性能化とその普及に比例するように一般社会への普及が加速した。そのような中、相次ぐ自然災害に対する国民一人ひとりの自助力と防災意識を向上するべく、防災のためのスマートフォンアプリが多数開発され無料で公開されている。近年では特に、ARの利点といわれる「直感的なわかりやすさ」に注目し、AR技術を用いた防災アプリが開発され始めている。
そこで、本研究では、浸水想定のためのARアプリにおいて、シミュレーションに用いる画像の表現の違いによる効果について実験によって明らかにする。
具体的には、AR技術によってシミュレーションして見せる画像が具体的であるほど被験者自身が災害や災害対策を具体的に想像できるのではないかという仮説を明らかにするための被験者実験と、AR画面とそれに紐づく災害知識を関連づけて表示する構造がユーザの内容理解に与える効果を調べると共に、水の画像表現を組み合わせたときの感情への訴求効果などについても被験者実験により明らかにした。