抄録
デザインという言葉が近代的な意味で登場してから100年近く経つが、いま一方で経済成長のために消費拡大が叫ばれ、デザイナーはその推進役を担っているが、他方では過剰消費による資源エネルギーの無駄遣い、廃棄物の増大による自然環境の破壊が深刻な問題となっている。アンコントローラブルとなっている市場競争に勝つためのデザインはその矛盾を抑止できない。まして生活者はただ「消費者」としてのみデザイナーのデザインした商品を買うことでしか生活空間を形成できない。いま必要な視点は、何をデザインするかではなく、「誰が誰のためにデザインするのか?」を問うことではないか?なぜ生活者は自分たちの生活デザイン能力を産業界に奪われてしまったのだろうか?それを知るためにあらたな視点でデザインの歴史を再把握することが必要だろう。