抄録
戦後の技術発展が日本の消費者に物質的充足をもたらした結果、消費者の欲求は物質的充足から精神的充足に移行している。このような社会動向に対応すべく、現在UX(User Experience)デザインが注目されている。UXデザインとは、製品の購買や使用を通した心地よい体験をデザインすることであり、中でも消費者の感動体験のデザインの具現化に向けた、感動研究の必要性が高まっている。先行研究において、多空間デザインモデルに基づく感動モデルが提案され、感動の要因が驚きと共感であることが指摘されている。また、「大きさ」が感動生起のうえで重要な役割を果たしており、特に、画像の大きさが肯定的な印象を強くさせることや、その印象による主観的評価と視線移動の間には関連があることが示唆されている。そこで本研究では、画像サイズが感動生起に及ぼす影響とその要因を、画像提示実験を通して調査した。結果、画像サイズが大きいことによる感動は、感動の要因のうち驚きに強く寄与していることを示した。さらに、画像サイズの増大に伴い視線移動量も増加することを示し、中心視と周辺視という視覚特性が本研究で得られた結果に影響を及ぼしていることを示唆した。