抄録
本研究は,現代までのものづくりに対する科学・デザイン知識の影響を分析し,今後のものづくりのためのデザイン方法論(ものづくりの方法を体系的に取り扱うためのデザイン知識)に関する考察を行うことを目的とした.まず,第1次~第3次産業革命期のものづくりにおける科学・デザイン知識の影響を,デザイン科学の枠組みの1つである「多空間デザインモデル」に基づき分析した.その結果,各産業革命における科学・デザイン知識の影響の違いを導出することができた.次に,分析結果に基づき,今後のものづくりに向けたデザイン方法論に関する考察を行った.具体的には,従来のものづくりにおけるデザイン知識の応用方法とされていた(1)大規模・複雑な人工物に対応すること,(2)人工物と場の関係の変化に対応することの2点にくわえ,(3)場の変化に素早く対応することという新たな応用方法を実現するデザイン知識の重要性を示した.そこで,本研究では,以上の3点の応用方法に対応するデザイン方法論として,「多空間デザイン法」と「モデル駆動型開発」(人工物のデータ間の関係の一般化により構築されたモデルを用いたものづくり)の概念,「データ駆動型開発」(人工物のデータを直接用いたものづくり)の概念を統合した新たなデザイン方法論を提案した.