抄録
わが国のあちらこちらで「自分たちが暮らしたい社会を自分たちでつくろうとする活動」が生まれている。それは、人びとが結びつきそこに生まれる新たな営みを、専門家ではなくそこに住む生活者が主体となりデザインする実践がはじまっていることを意味している。これまでのビジュアルやプロダクト、建築や環境など人工物に形を与えてきたデザインが、新たに社会を形づくることにその射程を広げている。しかし、その形づくりの主体はデザインの専門家ではない。実践者が主体となるデザインとはどんなデザインなのだろう。人びとが自分たちの社会を形づくる活動に、デザインの専門家はどんな貢献ができるのだろう。これらの問いの答えを探るために、社会課題にとりくむ実践者たちとデザインの専門家が出会い、ともにビジョンを創造するデザインのプロセスを体験する場をアワードとして実施した。本稿ではそのアワードから学んだこと、「社会の中でデザインすることの」を示す。