抄録
近年高齢化が進む中で、医療の発達などにより活発な社会活動が可能な高齢者が大多数を占め、旅行等を楽しむ人もいる。そのなかで加齢に伴う身体的機能変化に応じた外出時の携行品も必要となってくる。中でも、有床義歯(総入れ歯・部分入れ歯)の持ち運びや洗浄などを行うためのメンテナンス用品には、専用の洗浄剤を用いた浸け置き洗いやブラッシングといった手順の煩雑さ、携帯性の低さなど、様々な不満の声が聞かれた。有床義歯に類似する口腔内装着器具として、歯列矯正において歯列の後戻りを防ぐため歯部に装着するリテーナーが挙げられる。中高年に装着者の多い有床義歯と小児を含めた若年層に装着者の多い矯正用のリテーナーには、装着部位やメンテナンス方法に多くの共通点が存在する。したがって、外出時のメンテナンスにおいても双方の装着者には共通した不満点があると考えられる。本研究では、両者の共通した不満点を発見し改善することで幅広い年齢層のユーザーを快適にすることを目的とし、両者が共通して外出時に使用できるメンテナンス用品のデザイン提案を行った。