抄録
アイシャドウや口紅による肌色の同化効果を,これまでの研究で確認してきた。本研究の目的は,恒常法を用いた効果の定量的測定である。平均顔画像を用い,黄み肌と赤み肌にアイシャドウ5色(赤,黄,緑,青,なし),口紅4色(赤,桃,橙,なし)を塗布し,肌色の血色の知覚的変化量を測定した。比較刺激としては,ほほの部分のみを切り出し,赤みを9段階に変化したものを用意した。実験後,画面表示に左右差があることが判明した。標準刺激が右側に呈示された場合,化粧なしの肌色は,最も赤みのない比較刺激の肌色よりも物理的に赤みが少ない場合が多かった。参加者の反応をみると,この条件では多くの場合で,標準刺激の方を「血色が悪い」と判断しており,妥当な反応が得られていた。標準刺激が左側に呈示された場合は,化粧なしの肌色は比較刺激の肌色の中央付近にあり,測定条件として問題はなかった。こちらの条件では,これまでの研究成果に一致した現象が確認された。つまり,1)アイシャドウによる肌色同化は,ほほの部分までは及ばない,2)赤口紅が肌を赤く見せる。赤口紅によって血色は,a*値で,黄み肌で平均1程度,赤み肌で平均2程度であった。