本研究では,聴覚障害学生と健聴学生が混在するグループワークでの利用を前提とした議論の可視化手法の検討を行い,ソフトウェアを提案する. 障害学生支援センターの職員へのインタビュー調査より,グループワークにおける従来の情報保障手法における課題として1)情報の即時性、2)音声情報量の増加、3)機器のモビリティが抽出された。調査結果より健聴学生と聴覚障害学生混合で行われるグループワークで,参加者の発言がテキスト化され,聴覚障害学生が確認できる状態になるるまでの過程をグループワークに参加者する全員が視覚的に理解できる状態にすることで,グループワーク参加者の学生の発言が聴覚障害学生に確認できるようになるまでにタイムラグがあることを示し,聴覚障害学生が発言する機会が失われない議論の可視化手法を提案した. 提案手法と従来手法との比較検証より,議論のタイムラグを解消する事はできなかったが,話者ごとに色分けを行う事で聴覚障害学生の認知的負荷を軽減できることが明らかとなった.また,専門家インタビューから,提案手法ではグループ間での不公平性が生まれてしまうという課題が判明した.