シピ・ピネルズ(Cipe Pineles,1908-1991)は,第二次世界大戦後のアメリカで活躍し,20世紀における経済成長と社会の逆境の時代に重要な役割を果たした。彼女の貢献の一つは,当時新たに存在感を増していた大衆雑誌,とりわけ若い女性をターゲットにしたファッション雑誌の編集に携わったことである。女性初のアートディレクターとして数々の雑誌の編集に関わり,10代の女性や働く女性たちというこれまで社会的にも経済的にも目を向けられていなかった人々に注目したピネルズは,戦後アメリカにおける新しい視覚文化を生み出した。新しい大衆雑誌作りの基盤を築き,女性のためのデザインの歴史をつくったピネルズが成した業績を明らかにする。