抄録
本研究は、グラフィックデザイン教育における構図の検討において、紙立体模型を活用することで、三次元の空間イメージを二次元のグラフィックデザインへと展開するプロセスが円滑になるかを明らかにした。分析結果から、紙立体模型の観察による空間認識を通じ、複雑な情報を抽出・単純化し、視覚言語へ変換するプロセスが確認された。被験者は共通して、紙立体模型から1〜3個の要素を抽出し、空間を印象付ける要素として、グラフィックを構成するモチーフに取り入れていた。このことから、紙立体模型の観察は、空間イメージの把握を元に、グラフィックデザインの構成要素の検討をしやすくする可能性が示唆された。二つ目に、紙立体模型の観察を通じ、イメージに合致した構図を探索的に検討したことが確認できた。さらに、抽出した情報の重要度に応じて、サイズや配置に、階層性を持たせることで構図を検討する傾向が確認できた。三つ目に、紙立体模型(モノクロ)から2D(カラー)への変換は、イメージを象徴する色を重視する傾向が示唆された。絵が苦手な学生が紙立体模型を用いた対話からイメージを連想することでグラフィックを検討するなど使い方に特徴が見られた。