デザイン学研究
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口琴の音に対する印象構造とその形態学的特徴
矢久保 空遥田内 隆利久保 光徳寺内 文雄
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2015 年 62 巻 2 号 p. 2_1-2_6

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抄録

本論文では,口琴とよばれる楽器をサンプルとして用い,その音による印象と口琴のもつ形態的な特徴の関係を考察した.実験では,まず25 種の口琴が持つ形態的な特徴を抽出し,その特徴の有無を元として,これを数量化Ⅲ類によって構造化した. その後,各口琴の音に対する印象傾向を因子分析によって分析した. その結果,口琴の音による印象は「活発性因子」「評価性因子」「存在感因子」の3因子で説明できることが明らかとなった. その後,各口琴の数量化Ⅲ類によるサンプルスコアの値と因子分析によって得られた因子得点の相関係数を求めた.数量化Ⅲ類によって示されたⅠ軸は,「加工技術軸」であると読み取ることができ,数量化Ⅲ類で得られた「加工技術軸」と,因子分析で得られた「評価性因子」との間に正の相関があることを確認した. 結論として口琴の加工技術が高く,口琴を構成する細部の形状が緻密であるほど,その音は味わい深く,情緒性の高いものであると示唆された.

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© 2015 日本デザイン学会
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