2017 年 64 巻 2 号 p. 2_11-2_20
本稿は、ソーシャルデザインの視点から「授乳服」のデザインを取り上げ、それが登場した背景や、社会にいかに受容され、女性や女性を取り巻く人びとの意識・行動がどのように変化し、新たな生き方が生起し得ているかなどを検証したものである。
労働力不足を背景に女性に対する期待は高まったものの、仕事と家庭の両立は今も大きな課題である。多様な女性の“生き方・働き方”を踏まえ、緩やかな就業継続、或いは中断再就職を希望する女性たちのライフコースに沿った支援は、家庭や社会における女性の位置づけに関する視点と無縁では語れない。今回は、「授乳服」の製作者および使用者へのインタビュー等を通して、「授乳服」の開発がもたらした女性の生活行動の変化について考察し、以下を明らかにした。
①授乳中の女性の行動を制約していたもの、②授乳服普及の経緯、③授乳服がもたらした生活様式の変化、④多様な視点からの製品開発が新たな生き方を創出する可能性。