デザイン学研究
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日本のインダストリアルデザインの理論的特徴
―1970年前後における「道具」に関する議論の展開
石川 義宗
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2023 年 70 巻 2 号 p. 2_19-2_28

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抄録

 本稿の⽬的は我が国のインダストリアルデザインの理論的特徴を明らかにすることである。そのために1970 年前後のJIDAの機関誌を参照し、主に「道具」に関する議論に注⽬する。その議論から少なくとも下記の4つの理論的な分節を指摘することができる。(1)⽇本の現状を省察し、インダストリアルデザインの理論に空間的、時間的変化を付与した。(2)上記(1)の実証として、コンポーネント家具やユニット住宅が注⽬され、「複合機能」や「機能の系」といった概念が提起された。(3)上記(2)を深めるため、⽣活者の創造性に⽬を向け、デザイナーとユーザーの共同意識を浮き彫りにした。(4)上記(3)を⼀般化するため、デザイナーのコミュニティ以外に知⾒を求め、⾃然物と⼈⼯物を俯瞰する視野を獲得した。これらにより、従来の普遍的なインダストリアルデザインの理論に我が国の特徴が付与されたと考えられる。

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© 2023 日本デザイン学会
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