抄録
計算指導の再検討にともなって、見積りの指導がしばしば強調される。しかしその課題意識のわりには、論理が必ずしもともなっているとはいえない。それは見積りにおける手続き的な側面に目を奪われて、その概念的な側面が看過されているためと思われる。 しかし見積りの手続きと概念の両面に暗算は深く関与しており、したがって暗算の今日的意義は電卓使用の日常化を背景におき、見積り指導を前景におくことで明確になると思う。暗算を計算および計算指導の歴史的文脈の中に位置づけ、暗算の意識的活用つまりメタ計算をその今日的な意義とした。