抄録
構成主義者的立場に基づいたSTS(科学・技術・社会)教育が少しずつ実践されはじめている.しかしながら、STS教育の大切なところが、理解されずに実践や理論研究のみが先行してしまうことがある.STS教育は、これまでの日本の科学教育には、ほとんど見られなかった科学の教師と大学と教育委員会の協力に基づいた総合的な科学教育の改善を提案している(Kumano,1993).本発表では、STS教育が示している科学教育の6つの領域(Tamir,et al.,1991)の世界観領域に焦点をあて、今後の日本のSTS教育のための基礎研究を行った.静岡県内の760人の小・中・高校生の世界観領域の調査結果から、特に科学の本質に関る内容について、どの学年の子供たちも究めて低い結果がでた.すなわち、科学的知識は多く保有しているとえるが、科学の本質に関する経験や学習を理科の授業での報告を行うとともに、構成主義者的立場に立った実践研究の必要性について主張する。