抄録
共同体の多様な成員が, 自由に, 気楽に発言しているうちに, しだいに相互の会話をつなげて, 建設的に議論をかみ合わせ, 協同の目的に議論を収斂させていくことを支援する「建設的会話支援システム」を提唱し, 中学校理科授業におけるグループ討論の場面で実践した。その結果, 会話を誘発する「リード文」により, 会話の内容も大きく変わった。また, 教師が討論にタイミング良く適切な言葉で介入することにより, 生徒の思考に深まりが生まれやすいことが明らかになってきた。さらにグループ討論の流れの可視化に伴い, 教師ばかりでなく生徒どうしも他グループ討論の把握が可能となり, それらの討論を振り返ることで相互作用し, 会話をさらに建設的に進めていく傾向が見られた。つまり授業の中で教師が適切にシステムを使用することで, 協調学習を高めることができるという成果が得られた。