抄録
本稿の目的は、教師と児童との間に形成されるコンテクストに着目して算数授業における発問を分析し、発問に及ぼすコンテクストの影響を明らかにすることである。実際に2つの授業を分析したところ、低文脈でのやりとりが展開されている授業では、教師は、児童に対して明確に条件や範囲などを示さなければならず、クローズドな質問が多くなり、直前の内容を参照することが多い。高文派でのやりとりが展開されている授業では、教師は、児童に対して厳密に条件や範囲など示さなくても意図が伝わり、オープンな質問が可能となり、これまでに算数の授業で学習した事柄を参照することが可能になる。