抄録
本稿の目的は, 生徒が個人やペア, グループで問題に取組む場面に注目し, 特に生徒の側からそうした場面の持つ意味を探ることである。そのために, インタビューで生徒が選び出した「授業の中で重要だと思う箇所」とその理由を分類・整理し, 解釈を与えた。その結果, 日豪の両授業でみられる場面ではあるが, 生徒にとっての意味は必ずしも同じではないことが分かった。教師Kのクラスの生徒(日本)にとっては, 友人と情報や意見を交換し, 教えあったり分からない点を考えあったりする時間であり, その後の授業の展開を自分で意味付けていくためのベースを作る時間であった。一方, 教師Mのクラスの生徒(オーストラリア)にとっては, 出された問題を隣人と一緒にこなす時間であり, 教師の説明を聞いてわかったことを, 実際に, 自分で問題を通してやってみて確認する時間であった。