抄録
我が国における化学教育内容の特質の一端を解明するために, 基礎的研究として, 戦後発行の高等学校化学教科書に安定的に登場してきたハーバー法教材に着目して, 教材選択者の教材観を調べた。具体的には, 戦後の学習指導要領及び化学教科書における同法の記述の特徴を調べた。また, 化学教科書執筆関係者の意図を探った。さらに, 化学工業界における同法の歴史的な背景を調べた。その結果, 同法に関する2つの教材選択の観点が明らかとなった。①学問的に重要な複数の化学的概念を応用した工程であること。②近代重化学的工業史の中に画期性を有すること。