抄録
本稿は、我が国におけるサイエンスコミュニケーションの基盤整備を目的に2006年11月に行なわれた「サイエンスアゴラ2006〜科学と社会をつなぐ広場をつくる〜」について、サイエンスコミュニケーションの世界にどのような影響等を及ぼしたかを検証し、現状における課題を分析したものである。サイエンスアゴラ2006は、日本においてサイエンスコミュニケーターが一堂に会する最初の機会としてー定の成功を収めた。特に、2000年以降に活動を開始したような比較的に新規の団体等の参加は多く、今後の活動の発展につながる具体的なネットワーク形成の場となったといえる。一方で、旧来、サイエンスコミュニケーターという言葉が一般に使われ始める以前から活動を行ってきた団体・機関・コミュニティの参加は決して多いとは言えず、両者の協力関係の構築や融合に向けて、今後大きな課題を残していると言える。