数学教育にとって重要なことは,学習者が自分で考え,自らの力で物事を解決することである.現在の数学教育が創造性育成にとってあまり貢献できないのは,例題にしたがって与えられた方法を覚えていくことに力点があるためであろう.ゆとり教育からより多くの知識・内容を与える教育に変化しようとする学習指導要領の改訂に,創造性育成の場の設定としての数学的活動を見たい.問題を解くことは同じであっても,間にゆとり教育を挟んだ数学教育の今後の方向は,創造性豊かな人間教育を目指すことの視点を強調したい.教育そのものが変化している今回の新しい学習指導要領を創造し育成の視点から眺める.