抄録
本研究の目的は,新学習指導要領の指導内容に新たに加わった,第1学年における「ものの個数を絵や図などを用いて表したり読み取ったりすること」の児童の統計的な見方・考え方について,授業分析を通して考察することである。授業分析の結果,以下の点が明らかになった。①‥ものの個数を手際よく数えるために,その集合ごとに集めることを理解できた。②‥集合ごとに集めたものの大小関係を比べるために,絵グラフに表すことを理解できた。③‥絵グラフでは,絵を,縦,または,横に,きっちり並べることを理解できた。④‥絵グラフでは,1個の絵が決まった量の大きさを表すことを理解できた。⑤‥絵グラフから集合や集合間の特徴を読み取ることができた。児童の操作活動や発言から,数と計算と量と測定の学習で培ってきた1対1対応,集合の見方,減法(求差の考え),長さの直接比較の方法などが素地となって働いていることがわかった。