日常生活や社会における問題を関数的に解決する際,現実事象を既習の関数としてみなすことが重要であるが,みなすことについて我が国の中学生に課題があることが指摘されている。そこで本稿では,現実事象を既習の関数とみなすことの指導について,まず先行研究などから,ア.題材を3段階に分けて順に扱うこと,イ.みなす主体と目的を明確にして問題提示すること,ウ.みなすことの是非についての言語活動を充実させること,という指導上の留意点を抽出した。これを基に中2「1次関数」における指導モデルを開発し実践した。その結果,記述式の事後調査において約8割の生徒が事象を1次関数とみなして問題の解答を導いた。しかしその一方で,みなすための根拠や仮定を記述できたのは3割程度と不十分で,継続的な指導が必要であることもわかった。