新領域「資料の活用」の授業においては,資料から,度数分布表の作成,ヒストグラムの作成,代表値などを求めるだけでなく,それを活用して,考えたり,判断したりする活動も取り入れた指導が求められている。生徒が課題設定から,データの収集,分析,考察,結論までの統計的探究プロセスを経る中で,実践的な統計的思考力の育成を行っていく必要がある。本研究では,統計的探究プロセスの結論部分に焦点を当てて,2社の充電池の寿命実験の資料を基にどちらか一方を選択する実験授業を行った。実験授業では,資料の判断に散らばりを判断基準として用いることができた。また,課題の状況をかえることで,同一の資料でも,見方がかわり,判断基準や資料のまとめ方も変化することが明らかとなった。統計を用いて判断する授業では統計値に左右されるのではなく、与えられた状況から分析して,何を判断の根拠とすればよいのかを明確にし,その上でデータや,代表値,グラフ等から読み取る作業を行い,判断する経験を積むことが大事であることが示された。
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