本発表では、博物館の歴史資料を活用した学習のデザインについて、中学生を対象に行った事例をもとに報告する。歴史の重層性を実感することを目的とした学びを中学生の修学旅行の一部として取り入れ実施した。学習活動は、博物館での鑑賞、京都の街でのフィールドワーク、教室でのミニ屏風づくりという3つのフェーズからなる。学びを支援するツールとして、「洛中洛外図屏風」を用いた。実践をふまえて、携帯ゲーム機を活用した学習支援ツールを開発した。携帯ゲーム機は、PSPを用い、屏風に描かれた情報と現代の街をつなぐツールをめざした。この実践により、博物館資料は学び手にとって興味深い鑑賞の対象となり、修学旅行は単に観光名所を巡るだけにとどまらない過去と現在をむすびつける機会となった。また、ミニ屏風づくりは活動全体をまとめ意味付ける役割を発揮し、生徒らが自らの経験を雄弁に語るリフレクションツールとして有効に作用した。