抄録
2011年3月11日の東日本大震災によってもたらされた被害やその後の福島第一原子力発電所事故の影響によって,児童生徒の安全確保,児童生徒自身の危険の予測や回避能力を高めるために,学校における防災・減災教育の充実が強く求めらてている。中学校では新学習指導要領が2012年度に全面実施を迎えたが,防災・減災教育につていは具体的にどのような指導が行われているか,現場の教師を除いてはほとんど認知されていないのが現状であろう。そこで,学校での防災・減災教育に関しては,年1回の避難訓練程度の記憶しか有さない大学生に,本学の学際科目として実施した「静岡県の防災・減災と原子力」で,中学校における防災・減災教育について講義を行った後,中学校における効果的な避難訓練と教科で可能な防災・減災カリキュラムについて問うた。彼らの記述には,学校や教科学習でのガバナンスシステム導入の可能性を伺わせる内容が見られ,また,学校現場での防災・減災活動については,自分自身の問題と捉え自ら進んで対応する必要性を実感させることができた。