抄録
本稿では,筆者が日々の実践及び研究において考えている数学的モデリング指導における検討課題について,具体的な教材開発・授業実践の分析をもとに理論と実践の架橋となるような方法として,以下の3つの視点から問題提起及び提案を行った:「問題の実現性とモデルの妥当性」については,まず生徒の日常生活を観察し,生徒が問題として認識しているものを顕在化していくことを,「モデルの修正の契機となる考えの導出方法及び活用」については,具体的操作並びにそれに準ずる活動として図表現の比較を,「問題意識の多様化」については,場面のみを提示することで,問題を多様に設定させることを指導への示唆として挙げた。