主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第40回年会 大分大会
開催日: 2016/08/19 - 2016/08/21
本稿は,数学科教師の専門性の一端を,中学校数学科における教材の分析を通して,理科との関係から検討するものである。筆者はこれまでに,Shulman のPCK 概念(授業を前提とした教材の知識)や,これを踏まえたBa lらのSMK(数学指導に必要な教科内容知)について検討してきた。本稿では,中学校数学科の指導内容には理科に関連するものがあることに着目した。このような内容を指導する際,数学科教師は理科の知識が必要であると考えられる。特に本稿では,「高度」と「気温」の関係,「速さ」と「速度」の違い,「コリオリの力」などに着目した。これらは,授業という文脈には関係がないもの(CCK)と捉えられる側面があるものの,数学科教師に必要な教科内容知(SMK)の1 つであると捉えられ,数学科教師は,それらの指導内容の背景にある理科の知識を獲得しておく必要があると考える。